こんにちは!フィルです!
皆さんは学生時代に奨学金は借りられていたでしょうか?
私はめちゃくちゃ借りてました(笑)
家に本当に金銭的な余裕がなくて、基本的には奨学金で賄っていたので、
大学卒業時には450万円近い奨学金返済と言う名の借金を抱えていました。
実際に、日本学生支援機構の「平成30年度 学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学(昼間部)で47.5%、短期大学(昼間部)で55.2%、大学院修士課程で48.0%、大学院博士課程で53.5%となっています。
奨学金は確かに便利ですし、私も奨学金が無かったら大学に通えてなかったと思うと、必要な制度ではあると思いますが、出来る事なら借りずに済むのが一番ですね。
そんな奨学金と言えば、「繰上げ返済」か「コツコツ返済」かという議論がよくあります。
私自身もこの辺りについてはかなり悩みました。
そこで今回は、奨学金は「繰上げ返済」した方が得なのか?
それとも、こつこつ返しながら資産運用をした方が得なのか?
このことについて解説していきたいと思います!
現在奨学金を借りている学生の方や、私の様に現在返済中の方などにお役立ちできるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください!
奨学金の概要
まずは下の図をご覧ください。

これは、日本学生支援機構が平成30年に実施した学生生活調査の結果です。
セグメントによって若干のばらつきはあるものの、大体全体の40~50%が奨学金を利用していることがわかります。
これを見て、多いと思うか少ないと思うかは人それぞれだと思いますが、
私の場合は、私自身が借りていたのと、周りの友人も借りていたメンバーが多かったので、
正直思っていたよりも借りている人は少ないなと感じました。
続いて下記の表をご覧ください。
項目 | 第1種 | 第2種 |
---|---|---|
利息の有無 | なし | あり |
貸与金額(月額) | 最大64,000円 | 最大120,000円 |
申込基準 | 「優れた学生で経済的な理由で修学が困難」かつ「評定平均が3.5以上」 | 「成績が一定以上」「特定分野に強みがある」など緩い |
奨学金を借りていた人、借りている人ならご存知だと思いますが、奨学金には利息が付くものと付かないものがあります。もちろん、できれば無利息の一種を借りたいと思う学生は多いですが、多くは第二種奨学金を利用することになります。
奨学金の利息っていくら?
そんな第二種奨学金ですが、実際の「貸与利率」をちゃんと確認して、認識している人は少ないと思います。
「貸与利率」とは、その名の通り奨学金に上乗せされる利子のことですね。
下の図をご覧ください。

こちらは、平成19年度から令和元年度までの第二種奨学金の利率の推移を表した図になります。図からも見て取れるように、この10年ちょっとの間で、利率は大きく変化し、低下していることがわかります。
日本学生支援機構からは、
“この利率(利率固定方式=0.33% / 利率見直し方式=0.01%)は、JASSOが国から借り入れた財政融資資金を償還する時の利率と同率で設定されます。つまり、JASSOは、返還者の皆様からいただいた利息をそのまま国へ償還しており、この利息によってJASSOが利益を得ているわけではありません。”
日本学生支援機構HP「奨学金事業への理解を深めていただくために報道等を見て関心を持たれた皆様に向けたデータ・ファクト集〕」より引用
以上の様に、日本学生支援機構側でも利率を下げる努力をしてきたようです。
また、「法令により貸与利率が3%を超える事はない」とも明言しており、上限も定まっているようです。
但し、ここで注意が必要なのが、自分が奨学金申込時に「利率固定方式」「利率見直し方式」のうちどちらの算定方式を選択したのかです。
利率固定方式=返済終了まで同じ利率
利率見直し方式=概ね5年毎に利率が変動
両者には以上のような違いがあります。
ちなみに返済利率が決定するのは、貸与終了時点となります。
もしかしたら、奨学金を借り始めた時に「金利安いし全然いいや!」と思っていたかもいるかもしれませんが、実際には貸与終了時の利率が適用されているため注意してください。
利率の算定方式にはそれぞれメリット、デメリットがあり、一概にどちらがいいのかも判断がついていないことが多いため、適当に決めているか、もしくはそもそも覚えてすらいない人が大半だと思います。
特に見直し方式の場合は、5年毎に大幅に利率が上がったりしている場合もあるので、適宜確認が必要です。
奨学金の利息 VS 資産運用の利回り
さて、本題に入ります。
これまで奨学金の概要について色々と解説してきましたが、実際に奨学金の利息を繰上げ返済するためにお金を貯めて、繰り上げて返済する方が得なのか。それとも、継続的にコツコツと奨学金を返しつつ、資産運用をした方が得なのか。
以上について解説していきます。
当たり前ですが、利子付きの奨学金を借りていた場合、早く返済した方が利息分の支払いが少なくなるため得となります。
ただし、これはあくまでも一切資産運用をしない前提であり、単純に貯金をして繰り上げ返済をするという仮定での話です。
実際に奨学金の利息をシミュレーションしてみる
まずは前提を確認しましょう。
日本学生支援機構の資料によると、平成28年度3月に貸与が終了した学生の一人当たりの平均貸与総額は、利子付きの第二種奨学金で343万円だったようです。
そのためここからは、
■返済予定の奨学金:343万円(月に約7万円程度借りていた想定)
■4年制の大学を卒業
■第二種奨学金
■利率固定方式を算定方式とする
以上のような設定で話を進めます。
早速343万円の奨学金に0.07%(令和元年度実績)を掛けてみて、実際に日本学生支援機構のHPでシミュレーションした結果は以下の通りです。

利息は全部で25,228円と思ったよりも少なくて驚いた方も多いのではないでしょうか?
但しこれは、非常に利率の下がった年の実績ですので、仮に法令の利率上限である3%にすると、

但しこれは、非常に利率の下がった年の実績ですので、仮に法令の利率上限である3%にすると、
3%となるとそれなりに額が大きくなり、利息分は1,187,596円となりました。
やはり塵も積もれば・・・ですね。
資産運用した場合と比較してみる
奨学金の利息を繰り上げ返済する場合と、資産運用をしながらコツコツ返済する場合を比較してみましょう。
既にお伝えした通り、利率が3%を上回ることはないので、ここでは最大値である利率3%と資産運用の試算を比較してみたいと思います。
利率が3%の場合の総利息額は、約120万円ですが、これを仮に10年繰り上げて返済したとすると、大体ざっくり概算ですが利息分で50~60万円分を減らせることになります。
ただし、これは利率3%の場合で、これまで利率が3%になったことはありません。
そう考えると、利率0.01%や0.07%の場合は繰り上げ返済しても数万円程度しか変わらない可能性が高そうですね。
繰り上げ返済をする場合はまとまった金額が必要になります。今回のケースでは、343万円を20年間で返済する前提でした。つまり、利率0.07%の場合は約170万円分を毎月約1万5千円ずつ返済しつつ、その傍ら繰上げ返済分の170万円分を、毎月約1万5千円貯金する必要があります。月で3万円を奨学金返済に回す必要があるということですね。
では次に、繰り上げて返済をせずに1万5千円コツコツ返済しつつ、資産運用した場合で考えてみましょう。毎月の返済額は変わりませんが、繰上げ返済のための貯金分1万5千円を毎月資産運用へ回すことが出来ます。
資産運用とはいっても色んな形式がありますが、ここではファンドオブザイヤー2020に選ばれた、eMAXIS Slim全世界株式(以下、オールカントリー)に毎月1万5千円積み立てたとしましょう。
オールカントリーの平均的な利回りは年利で5.9%です。非常に高いですね(笑)
ここでは、リスク等も加味して年利を5%まで下げて、月に1万5千円を10年間積み立てた場合の計算をしてみます。
計算結果は以下の通りです。


知るぽるとのシミュレーションで計算した結果、上の画像の様に2,206,293円となりました。
単純に貯金だけをした場合だと、180万円なので、40万円近いプラスとなる計算ですね。
ということで、これまでをまとめると、
■343万円という奨学金を10年繰上げ返済した場合、数万円分の利息が軽減される
■繰上げ返済用の貯金を仮に資産運用に回した場合、10年で40万円ほどプラスになる。
以上のような結果となりました。
本記事では、無理にお金を貯めて繰り上げ返済を行うよりも、コツコツ返済しつつ資産運用を行った方が機会損失を減らすことが出来、お得であるという結論となりました。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
本記事は奨学金を推奨するものでもありませんし、出来る事なら奨学金を借りない方が良いと思います。また、資産運用の試算についても未来は読めないのであくまでも予測の域を出ません。
ただ、そうはいっても私の様に奨学金に頼らざるを得なかった方はたくさんいらっしゃると思います。
そういった方に向けて、少しでも今後の示唆を与えられたらと思い、今回の記事を執筆しました。
資産運用はリスクもありますので、元本割れの可能性もありますので完全自己責任にはなりますが、理論上は無理に繰上げ返済を行うよりも、資産運用をしつつコツコツ返すのがよいと私は結論付けました。
人によっては、早く返済を終わらせたい!と強く思われている方もいると思うので、そういう方はその通り実行されても良いかと思います。ただ、別の道もあることを知っていただければ幸いです。
本日は以上となります!
今回も最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!
コメント