米国株式市場において存在感を増してきているのが、ドローン業界です!
中でも、中国のドローン開発メーカー[$EH]EHang Holdings(イーハン)の勢いが凄いです!
私も年初にEHang Holdings(以下、EHang)の株を買いましたが、今素晴らしい状況です(笑)
何と2021年初来で、一時424%の株価上昇を実現しました!(2021/02/06現在)
(いつまた落ちるかは読めませんが・・・)
そこで今回は、最近勢いのあるEHangについて、
ドローン業界の動向などについても触れながら解説していきたいと思います!
かなり気合を入れて書いたので、長くなっていますが、その分情報をたくさん得ることが出来ると思います。
目次から、興味のある部分だけ読んでいただいてもかまいません!
米国株式投資に興味がある方や、ドローン業界について知りたい方、投資したい方、
またEHangに投資を検討している方にとって有益な情報を届けられると思いますので、
ぜひ最後までお付き合いください!
ドローン業界について
皆さんは「ドローン」と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
撮影とかで良く使われてるけど、それ以外はパッとは思い浮かばない人も多いのではないでしょうか?
実際、日本では法規制が厳しく、海外に比べてドローンの開発が遅れていると言われており、
感覚としてはまだまだ身近なものではないかもしれません。
実はドローンには非常に大きな将来性があり、大規模な市場になると予想されています。
しかし、現在の私たちの感覚ではまだまだ遠い未来のように感じると思います。
さらに一口にドローンとは言っても、様々なジャンルがあるため、ドローン業界の構造を理解することが非常に重要な業界です。
そのため、EHangについて詳しく語る前に、
まずはドローン業界について解説していき、その前提のもとにEHangについてもご紹介していきたいと思います!
ドローンにも様々な形態がありますが、
全てを解説していくとあまりにも長くなってしまうため、
ここでは、EHangのターゲット市場であるUAM(Urban Air Mobility)市場について掘り下げていきたいと思います。
UAMとは?
UAM(Urban Air Mobility)とは、”都市航空交通”と呼ばれたりしますが、
下の図は法政大学が出している資料で、その中では”身近な航空機”と記載されています。
1200ftの高度を飛行するドローンと定義されています。

このUAM市場は以下の様に様々な部門があります。
EHangの企業HPに記載されていたものをベースに列挙します。
- 旅客輸送
- ロジスティックスシステム
- スマートシティ管理
- 航空メディア
旅客輸送

旅客輸送では、いわゆる人の移動に関する課題解決を目指す分野です。
地上では自動車が走り回り、深刻な渋滞問題を引き起こしています。
そのような課題を解決すべく、空の移動を可能にすることで、人々の移動に革命を起こそうというものです。
余談ですが、テスラの創業者イーロン・マスクが創設した企業では、地下に馬鹿でかいトンネルを掘って、
そこを高速で移動できるようにして渋滞を解決しようと本気で取り組んでいるような例もあるので、
やはり移動手段のブレークスルーは非常に重要度が高いと言えます。
ロジスティックスシステム

こちらも想像しやすい分野かもしれませんが、商品の配送などをドローンで行おうとする分野です。
実際にアマゾンなど、米国の企業では実証実験も活発に始まっている分野です。
特に需要が高いのが、Eコマースや過疎地配送などです。
この数年で爆発的にEコマース関連の流通量が増えたことで、物流網が壊滅状態に陥ったりしたことから、
「アマゾンクライシス」などとも呼ばれました。
こういった課題も、自律走行するドローンにルートをプログラムすることで、
物流革命を起こす可能性があります。
また、農村部や離島などの配達困難地域への輸送もドローンで解決可能です。
スマートシティ管理

あまり想像しにくい分野ではありますが、重要度が増してきているのがスマートシティ管理です。
火災や交通、防犯など、様々な生活シーンの対策にドローンが活用でき、
それによって私たちの生活がより安全なものになります。
航空メディア

いわゆる広告媒体としてのドローンの使用で、中国では近年急拡大している分野です。
飛行機のように、ドローンを複数使ってショーのように演出したりすることで、
差別化が可能な広告宣伝を行うことが出来ます。
UAMの市場規模
下記の画像をご覧ください。

上記の画像は”DRONE FUND“という、ドローンやエアモビリティに特化したベンチャーキャピタルが出した資料の一部になります。
資料内では、ゴールドマンサックスのリサーチによると、2020年時点での商用利用ドローン市場は130億ドルとなっています。
また、モルガンスタンレーのリサーチによると、2040年のエアモビリティ市場は1兆2850億ドルと、なんと現在の市場規模の100倍に達すると示されています。
上記のモルガンスタンレーのリサーチの、地域別の表は下記の画像です。

この資料では、中国>アメリカ>ヨーロッパの順で成長度が大きいとされています。
つまり、市場規模で見れば、中国のメーカーが地域的な旨みを享受できる可能性が高いということになります。
ただしこれらは予測の域を出ないため、妄信してはいけません。
この資料に出てきている市場規模の予測は、あくまでも複数の条件が満たされた時の最大値での市場規模となります。
※これをTAM(Total Addressable Market)と言います。
それでも世界トップの頭脳がリサーチした結果ですから、ある程度信ぴょう性は担保されていると考えられます。
これらの資料から、今のドローン市場はまだまだ成長余地の大きい、
非常に高いポテンシャルを秘めた分野であることがわかります。
ただし、これらが机上の空論になる可能性も大いにあると私は考えています。
ドローンの様な、未知のプロダクトは法整備や時流、人々の許容など、数えきれないほどのハードルがあります。
そういったものを一つ一つ乗り越えていき、本当に市場で花開くのかは誰にもわかりません。
だからこそ、夢のある世界でもありますね!
EHangの概要とドローン業界におけるEHangのポジション
ここまでドローン市場の概要について解説してきましたが、ここからはEHangについて解説していきたいと思います。
以下がEHangの会社概要です。
項目 | 詳細 |
---|---|
社名 | EHang Holdings Limited |
設立 | 2014年12月 |
本社所在地 | 広州(中国) |
上場市場名 | NASDAQ(2019年12月上場) |
従業員数 | 240名 |
続いて詳しく見ていきます。
EHangの事業内容
EHangの事業内容が他と異なる点は、「ドローンプラットフォーマー」であることです。
先ほどご紹介したような、旅客輸送やロジスティックスシステムなどの市場にも、EHangは参入しています。
ただそれだけでは、群雄割拠のドローン業界を生き抜いていくことは困難です。

上記の図は、EHangの事業領域を表した図になります。
EHangの事業領域の広さが非常にわかりやすく記されています。
これまで紹介したような領域だけでなく、「飛行場」や「充電スタンド」などのプラットフォームの事業も行っています。
特に、「飛行場」はドローン業界では非常に深刻な問題となっています。
多くのドローン企業がありますが、飛行場問題の解決に取り組む企業は少ないと感じています。(あくまでも主観です。)
その意味でEHangは、ドローンを普及させる上で不可欠なプラットフォーム事業を展開し、自社のみならずドローン市場全体の成長に影響する、非常に重要なポジションを確立しています。
プラットフォームの重要性は、GAFAなどの巨大IT企業で証明済みです。
特に近年で言えばEVが顕著な例として挙げられます。
EVは車を製造すれば完結するわけではなく、それに伴った充電ステーションの拡充など、
インフラ面の整備もセットで進まなければ、利用者側に製品の訴求が出来ず、
結果的に普及しないまま企画倒れに終わる可能性が非常に高まります。
そこで、テスラやNIOなどの企業はそういった課題に積極的に取り組み、
EV市場のプラットフォーマーとしての地位を確立し、
現在ではEVの生産能力の高まりもあり、市場の評価は日に日に高まってきています。
このEVの例を見てもわかるように、モビリティのプラットフォーマーのポジションを築くことで、
市場の成長ととともに自社の加速度的な規模拡大を成し遂げられる可能性が高まるのです。
EHangの強み
前章まででEHangの事業内容について解説してきましたが、
ここではEHangの強みについて私見も踏まえてご紹介していきます。
EHangの強みを以下にまとめてみました。
- 事業ピボット力
- 他社との技術的差別化
- 経営メンバーの充実度
- アライアンス(提携)先の増加
一つずつ解説していきます。
強み①事業ピボット力
ここまでご紹介してきたように、EHangは「ドローン」という未成熟市場の中でも、
非常に多岐にわたる事業を展開しており、事業をピボットする力が高いと言えます。
※ピボット・・・企業経営における方向転換や路線変更のこと
まだまだ将来的な収益の見通しが立てづらい中でも、
多くの事業を展開する中で収集したデータや、技術的ノウハウなどを駆使することで、
環境の変化にも柔軟に対応できる可能性が高いと言えます。
強み②他社との技術的差別化
EHangのプロダクト自体への安全性のこだわりは徹底しています。
以下の画像は実際にEHangが製造するEHang216の製品情報です。


この資料から見ても、製品開発の歴は他社と比較しても先行していることがわかります。
また、2つ目の画像内にある通り、EHangは自律走行にも対応していることがわかります。
自律走行によるデータの蓄積や、ルート設定によるロジスティックス網の構築などが実現可能となります。
また、EHang216は何かしらの異常が起きた際の対応についても、
予めプログラムされた設定に従って、最も安全なルートを飛行させる機能が搭載されています。
さらに、最も重要なバッテリーについても、常に状況を管理できるシステムを装備しており、
異常をすぐに検知できるような設計になっています。
どこかで、「中国製だからいい加減な製品設計なのでは?」と言う思いを持っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、
それはかなりの偏見と言わざるを得ません。
ドローン分野においては、日本企業よりも進んだ安全設計に取り組んでいるのがEHangなのです。
今回はあまりにも詳細に書くと長くなり過ぎてしまうので、
コンパクトにご紹介していますが、気になる方は英語にはなりますがEHangの企業HPから確認してみてください!
強み③経営メンバーの充実度
EHangの経営メンバーは非常に強力で、怪物たちがそろっています。
CEOのHuazhi Hu氏は現在43歳でありながら、将来有望なこのEHangを率いています。
Hu氏は以前、「北京999緊急救助センター」という中国の緊急救援団体で、
最高技術責任者を務めていました。(当時30歳)
そのため、安全性への知見やノウハウはこの当時に蓄積されていたと考えられます。
また、2019年には「Living Legends of Aviation」という、
航空宇宙産業に関するイベントにおいて、「Technology Innovation Award」を受賞しています。
CMO(最高マーケティング責任者)のDerrick Yifang Xiong氏は、
現在31歳と非常に若く、創業以来新たなビジネスを開発し続けてきました。
2015年にはForbesの「中国の30歳未満における起業家の新星30人」にも選出されました。
プラットフォーム事業の将来性を見出したXiong氏はまさしくCEOの右腕です。
さらに財務の責任者を務めるHaoxiang Hou氏は、Xiong CMOと同じ31歳で、
以前は投資ファンドの副社長を務めていました。(なんと当時25歳!笑)
Hou氏もForbesの「中国の30歳未満におけるトップベンチャーキャピタリスト30」に選出されています。
CMOと財務責任者が、あれだけ人口の多い中国の中でトップ30に選出されている事実からも、
EHangの経営メンバーの強力さが伺えます。
こういった強力メンバーによる経営によって、EHangがより成長していく絵がイメージしやすくなりますね。
強み④アライアンス(提携)先の増加
最後にアライアンス先を増加させていることです。
EHangは多くのドローン事業分野で事業展開を行っていますが、
各セグメントにおけるニッチで強力な技術力をもつ企業とアライアンスを組んでいます。
自社内で全て完結させる日本企業のような「自前主義」ではなく、
柔軟に他社とも協業しながら技術を蓄積し、製品開発に活用していく姿勢は素晴らしいですね。
また協業だけでなく、自社で分野に特化した企業を持ったりもしています。
参考までにEHangが提携または保有している企業の一覧を載せておきます。
・DHL-Sinotrans ラストマイルデリバリー
・Vodafone 5G・AAV技術革新
・FACC AAV生産
・EHang Intelligent エアモビリティ
・EHang Egret 空中メディアソリューション
・EHang Tianyu ロジスティクスソリューション
・EHang GZ AAVオペレーティングシステム・インフラ
Ehangのリスク・懸念点
これまでEHangの強みについて紹介しましたが、もちろんリスク・懸念点もあります。
一覧でまとめたものが以下の通りです。
- ドローン普及の困難性
- 事故・事件のリスク
- 軍事転用のリスク
- 国策のリスク
リスク・懸念点①ドローン普及の困難性
これが最も大きな懸念点と言っても良いかもしれませんが、
そもそもドローンが受け入れられず、普及しなければ本末転倒です。
現在様々な実証実験や法整備が海外では活発に行われ始めていますが、あくまでも大半が実験の域を出ません。
商用として利用開始して、実際にドローンが自由に空を飛ぶにはまだまだ越えなければいけないハードルが非常に多いです。
また、心理的に一般大衆に許容してもらえるかも非常に重要です。
もし少しでも事故がセンセーショナルに取り上げられてしまうと、
一気にドローン反対派が増加して、普及への道が閉ざされてしまう可能性があります。
一般世論、また国を巻き込んで議論を進め、
ドローンの有用性、将来性についての納得度を高めていくことが肝要です。
リスク・懸念点②事故のリスク
1点目でも記した通り、空を飛ぶ以上安全性は絶対でなければなりません。
米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査によると、航空機による死亡確率は0.0009%との調査結果が出ています。
これほどの安全性を維持しているにも関わらず、事故が起こった際には大々的に報じられ、
さも頻繁に事故が起きているような錯覚に陥ってしまい、恐怖感を増加させてしまいます。
このような背景から、何があっても事故だけは絶対に避けるべきであり、
万が一事故が起きた際にも、緊急時のシステムが高い精度で機能することが絶対条件です。
システムの誤作動や、天候、システムハッキングなど、
センシティブな課題を乗り越える事で、安全性の担保をイメージ付けていくことが重要です。
リスク・懸念点③軍事転用のリスク
3つ目は軍事転用リスクです。
ドローンは日常生活の中でも非常に重要な役割を担うことが期待されている一方で、
それは戦場においても同様であることを認識しておく必要があります。
昨今、ESG投資(環境や社会に配慮した企業への投資)が盛んに叫ばれている中で、
もしも軍事転用などされてしまうと、企業のイメージダウンどころの騒ぎでは済まなくなってしまいます。
また、中国と言う国の国家制度上、共産党が強い性質のため、
万が一軍事転用の打診をされた際に、断り切れない可能性も高いです。
リスク・懸念点④国策リスク
最後に国策のリスクです。
こちらは皆さんも記憶に新しい、「米中貿易摩擦」が思い浮かぶのではないでしょうか?
米中の覇権争いによる貿易摩擦の影響は甚大で、ファーウェイやバイトダンスのように、
狙い撃ちされてしまえばひとたまりもありません。
しかも、2021/1/18には、中国・北朝鮮・ロシア・イラン製のドローンの調達を禁止とする大統領令に署名しました。
こちらはトランプ大統領時代に署名されたもののため、今後バイデン政権では緩和されていくと予想されていますが、
中国を脅威に感じているアメリカ国民、政治家は多いでしょう。
アメリカの様な経済大国の国策の影響を受けてしまえば事業が傾き、瞬時に企業がなくなるということもあり得ます。
Ehangの財務状況
ここで、EHangの財務状況について確認していきましょう!
2020年12月に発表された最新の決算から解説していきます。

上図はQ3の販売台数に関する資料です。
販売台数はYoY(昨年比)で27.8%増加、QoQ(前四半期比)で43.8%増加となっています。
このようなコロナ禍の状況の中でも順調に台数を伸ばしていることがわかります。

上図は、Q3の財務状況に関する資料です。
収益はYoY(昨年比)で104.3%の上昇、利益はYoYで120.3%の上昇となり、
非常に好調であることがわかります。
以上の様に、直近の決算からは非常に好調な様子を伺えます。
より詳細な細かい数字や、財務諸表をご紹介するかも考えましたが、今回は割愛することにしました。
大企業で成熟した企業であれば、細かなファンダメンタルズ分析は非常に重要ですが、
このようなベンチャーの場合、正直長期的な視点は見えづらい部分も多いため、
気になる方はぜひご自分でEHangのIR情報を覗いてみてください。
EHangの今後について
これまでご紹介してきたことをまとめて、EHangの今後について考えると、
・ドローンというの将来の巨大市場で巨大プラットフォーマーになる可能性がある
・ドローンという分野においても多様な事業展開を行っている強みがある
・一方で多くの障壁、リスクも存在しているため継続ウォッチが必要
このようにまとめられるかと思います。
間違いなく可能性を秘めた魅力的な企業であり、これからの時代をけん引する存在感があります。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、中国のドローンメーカーEHangについて解説してきました。
解説してきた通り、大きな可能性とリスクは常に隣り合わせです。
もちろん投資も自己責任です。
私はそんな状況の中で、今回ご紹介したような材料を基に投資をすると決めました。
私はEHangの将来性、実績、ビジョンを加味して投資しています。

やはり夢がありますので、そこは大きいです(笑)
皆さんもぜひ、様々な材料を基にして、複数の観点から検討したうえで結論を出していただければと思います!
また、こんな風に様々な個別株の解説記事を書いていきたいと思いますので、
今後ともよろしくお願いいたします!
それでは今日はこの辺で!
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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